2019年12月11日

『アルケミスト 夢を旅した少年』

ここ一週間、スマホ依存から脱しようと試み中。何年か前にもめちゃSNSにハマってた時があったんだけど、その後やめられた時期があったので、私は出来る子だと自分で思っております、はい。まあ依存というよりか、ツイッターやインスタをやる場合、ちょっとやるのも結構やるのも私の契約してる使用料としてはさほど変わらないので、それならばと気にしないでちょくちょくやってたんですね。

それで、電車の中でもちょっとした空き時間にもついついスマホに手が伸びてたんだけど、こないだふと、それをやってると自分の時間がどんどん消費されてしまうな、ということに気付きました。いや、本当は前から気づいてはいたんですけど、気付かないフリをしていたというか・・・

てことでここ一週間文庫本を持ち歩き、スマホに手を伸ばしそうになると文庫本を開くことにしました。そしたら結構イケるじゃん、ということがわかった。読書量も増えるし一石二鳥。そんなわけで何年か前に買ってずっと読めないでいた文庫本を棚から引っ張り出してきました。

それが『アルケミスト 夢を旅した少年』という本。多分3年くらい前から買ってあって、薄い文庫本なので読む気になればあっという間に読める本なのに、なぜか何年もの間、途中まで読んでもその続きがどうしても読み進められない、というのを繰り返した本でした。


ある場面くらいまでは読めるんだけど、なぜかその先には進めない・・・それを何回も繰り返し、自分でも何故だろう?と不思議でした。でも今回全部読みきってみたら、"(主人公が)ある本をもう2年間も読もうとしてるのに、最初の2、3ページしか先に行ったことがなかった"といったくだりがあってびっくりしましたΣ(゚Д゚)

決してこの本の内容が面白くないから読み進められなかったってことでなく(それが証拠に今回は一日で読み切ったし、この本は全世界で売れているベストセラー)、おそらく私はどっかで、それはなぜだかわかんないけど、何度も同じ個所から続きを読めないっていう経験をしてからその一文に出会った方がずっと面白いとわかっていたんだろうと思う。

結構そういうのはよくある話で、その時はうまく進まないことに「なんでだろう?」って首をかしげたくもなるんだけど、でも後から考えた時に"あの時にうまくいかなくて良かった"っていうのは何回も経験してきた。だからうまくいかないことがあった時、"自分にはこの先、想像以上にもっとずっと良いこと(面白いこと)が待ち受けている"と思うのが正解。

この本はそのことを私に思い出させてくれました。これから先の人生も、思ってもみない何かが待っている。そう信じる人にはきっとそういうことが起こる。そう信じない人には起きない、というそれだけの話。・・・ってことで『アルケミスト 夢を旅した少年』面白いのでぜひ♪



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2019年09月23日

水の星

前回茨木のり子さんの詩を取り上げましたが、また読むようになったきっかけは何かというと、よく行く喫茶店に茨木のり子さんの『倚りかからず』という詩集が置いてあったから。本が何冊もご自由にお読みくださいっていう感じで並べてある喫茶店なのですが、こないだ座った席の目の前にたまたまその本があったのでした。

その詩集を手にとって読み進めるうち、なんとなく言葉の感じに覚えがあるな、と思ったのですが、どこでいつ読んだものだったかその時は思い出せず。しかし、こないだ自宅の棚を整理していたら茨木のり子さんの『うたの心に生きた人々』という本が出てきて「あ!だからかー!Σ(゚Д゚)」と思いました。

話は変わりますが今日、『アド・アストラ』という映画を観に行きました。ああいうSFものを映画館で観るって最高!\(^o^)/家だとどうやってもあの没入感にはなれないので。携帯電話を切って、一切いろんなものを断ち切って映画の世界にどっぷり浸かるのって心の栄養にもすごくいいんじゃないかなあ〜。どこで読んだのか忘れたけど、人間には"行方不明になる時間が必要"だって。本当にそう思う。

で、宇宙ものの映画なので当然地球を地球から離れた位置から見る映像もあるわけですが、それを観てこれまた茨木のり子さんの詩を思い出しました。一見関係ないようでいてここで繋がるのでした(笑)ということでその「水の星」という詩をあげてみます。

(引用開始)
宇宙の漆黒の闇のなかを
ひっそりまわる水の星
まわりには仲間もなく親戚もなく
まるで孤独な星なんだ

生まれてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真

こういうところに棲んでいましたか
これを見なかった昔のひととは
線引きできるほどの意識の差が出てくる筈なのに
みんなわりあいぼんやりとしている

太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと渦まくのであるらしい
中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星

すさまじい洪水の記憶が残り
ノアの箱船の伝説が生まれたのだろうけれど
善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに
子子孫孫のていたらくを見れば この言い伝えもいたって怪しい

軌道を逸れることもなく いまだ死の星にもならず
いのちの豊饒を抱えながら
どこかさびしげな 水の星
極小の一分子でもある人間が ゆえなくさびしいのもあたりまえで

あたりまえすぎることは言わないほうがいいのでしょう
(引用終わり)

私はというと、物心ついたときから地球を外側から見るという視点が存在する世界で生きてきた気がするので、確かにそれを知ってこの地上で生きるのと、そうでないのとでは大きな違いがあるのかもしれないなあとこの詩を読んで初めて思ったのでした。

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2019年09月22日

茨木のり子さん

ちょっと前から自分の中で茨木のり子さんブームが来ていて、今、『谷川俊太郎選 茨木のり子詩集』っていう本を読んでいます。で、やっぱりこの人の詩は好きだなあ〜と思いながら読んでいたら、とある詩でダーッと涙が出てきました(;_;)

自分の中ではその理由がわかるようなわからないような・・・。たぶん、人の飾らない本当の気持ちとか、純粋な何かに触れると涙が勝手に出てくる傾向があるので多分そうじゃないかと思うんですが、その「答」という詩を書き留めておこうと思います。

(引用開始)
ばばさま
ばばさま
今までで
ばばさまが一番幸せだったのは
いつだった?

十四歳の私は突然祖母に問いかけた
ひどくさびしそうに見えた日に

来しかたを振りかえり
ゆっくり思いめぐらすと思いきや
祖母の答は間髪を入れずだった

「火鉢のまわりに子供たちを坐らせて
かきもちを焼いてやったとき」

ふぶく夕
雪女のあらわれそうな夜
ほのかなランプのもとに五、六人
膝をそろえ火鉢をかこんで坐っていた
その子らのなかに私の母もいたのだろう

ながくながく準備されてきたような
問われることを待っていたような
あまりにも具体的な
答えの迅さに驚いて
あれから五十年
ひとびとはみな
掻き消すように居なくなり

私の胸のなかでだけ
ときおりさざめく
つつましい団欒
幻のかまくら

あの頃の祖母の年さえとっくに過ぎて
いましみじみと噛みしめる
たった一言のなかに籠められていた
かきもちのように薄い薄い塩味のものを
(引用終わり)



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2018年02月21日

果心居士

こないだ夢枕獏さんの話題を取り上げましたけど、今日はその続き。

『夢枕獏 光の博物誌』(小学館)を読んだ私は他にも獏さんの書いたものを読みたくなって図書館へ。そこで『獏さんのぽちぶくろ』(日本出版社)というエッセイ集を発見。手にとって何気なくパラパラと眺めていると「ん?」ものすごく自分的に引っかかる固有名詞を発見。それは“果心居士”(かしんこじ)という名前。その「果心居士の幻術」というタイトルで書かれた章を読んで私は思わず嬉しくなってしまった。なぜならそこには、

―ぼくが『陰陽師』を書き出した背景の一部には、間違いなくこの「果心居士の幻術」がある―

と書かれていたからだ。この章の内容をざっと要約すると、今度『小角の城』という連載を書くことになったのだが、その物語に果心居士を重要な役どころとして登場させることになった。以前、司馬遼太郎の短編『果心居士の幻術』を読んだのだが、この小説がおもしろく、エピソードの描写がなんとも妖しくてよいのだ、だからいつか自分の書く物語にも果心居士を登場させたかったのだ・・・ということになるかと。

実は私も昔、『日本のふしぎ話』(童心社)という文庫本に載っていた果心居士の話が面白くて何度も何度も読み返した記憶があるのであった。子供の頃に読んだ本で一番印象に残ってると言っても過言ではないかも。人が人に幻術をかけられるなんてそんなバカな?と思うんだけど、これを読むともしかすると本当にそういうこともあるかもしれない、と思ってしまうんだよね。私が物語や小説を好きになったのはこの本によるところも大きい。

てことで『日本のふしぎ話』で描かれた果心居士のお話を記憶を頼りに紹介してみます。

・・・ある夜、とある屋敷に、もう既に幻術で名をはせている果心居士が招かれる。おそらく幻術がホンモノか試してやろう、という場であっただろう。果心居士はその家の主人に向かって、では、部屋に置いてある屏風に描かれた絵の中に入ってみせよう、という。その屏風には湖(?)が描かれていて舟がひとつポツンと浮かんでいる。「ほほう、そんなことが出来るというか。ではここでやってみせよ」と屋敷の主人が言ったかどうか(ここは勝手にアレンジ(笑)、たちまち屏風の絵から水が溢れ出てきて部屋の中は水でいっぱいに・・・!

そして、絵の中で遠くにあったはずの舟がどんどん近づいてきたかと思うと果心居士はひらりとその舟に乗り込み、屏風の中へと消えていく。あまりのことに家人はパニックになるが、ふと気が付くと家の中に溢れていた水はあとかたもなく消え失せ、何事もなかったかのようにしーん、と静まり返っている。ただひとつ前と違うのは、屏風に描かれた舟は以前は無人だったはずなのに、今となっては確かに一人、人が乗っているのであった・・・その後、果心居士の消息を知る者はおらんということじゃ、といったお話(詳細は違ってるかもしれません(^^;そこはご容赦ください)。

挿絵も良かったんですけど、この物語を読んで自分の中に描いた世界をもう本当にリアルなくらい覚えていて・・・だから、夢枕獏さんの描く『陰陽師』に妙に心惹かれるのも、その背景として果心居士という共通点があるからなんじゃないかと、今回思ったりしたわけです。『小角の城』も読んでみたいなあ。獏さんが描いた果心居士がどんな感じなのか気になる(^^)

posted by chocola at 00:10| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月17日

夢枕獏さん

本日2月17日は、フィギュアスケート男子シングルで日本人が金メダルと銀メダル両方をとったという、おそらく今後も語り継がれていくであろう記念すべき日となりましたね(^^)わたし的には今回のフィギュアスケート男子、なんと言ってもフェルナンデスのショートプログラムが金メダル!でしたが(^^;

思い返せば私は長野オリンピックあたりが一番フィギュアスケートにハマっていたような気がします。私がその頃のフィギュアで印象に残ってるのはキャンデロロという選手。長野五輪で三銃士を演じたのを覚えてる人もたくさんいるんじゃないかな?“記録に残る”よりも、まさに“記憶に残る”演技をされる方だったように思います。今回のフェルナンデスもそんな感じでした!チャップリンという、個人的に好きなテーマだったからかもしれませんが。

と、それはさておき本題。今回金メダルをとった羽生結弦選手がフリーのテーマに選んだのはなんと陰陽師。私は今日見るまで全然知らなくて、曲が「SEIMEI」と聴いたときに「生命?」と思ったくらい。しかし調べてみたら狩衣風衣装に五芒星を縫い込んであるほどのガチ安倍晴明でした!それをテーマに選んだ王者、羽生くんにちょっと親しみが湧いてしまいました(笑)なぜなら「SEIMEI」は映画版『陰陽師』で使われた曲で、その映画版の原作、小説『陰陽師』は私の大好きな作品だからです。作者は夢枕獏さん。

夢枕獏さん、私はちょっと前からちょくちょくお名前を目にしていました。なぜなら、来週2月24日から劇場公開される映画『空海―KU-KAI―美しき王妃の謎』という作品の原作者さんだからです。私は空海のファンであり、また夢枕獏さんのファンでもあり、これはもう観に行くっきゃないでしょう!!と昨年からずっと公開を待ちかねておりました(^^)

またそんな中、ツイッターでフォローしてる人から、1989年に発行された『夢枕獏 光の博物誌』(小学館)という本が写真集として好き、ということを聞きました。獏さんが写真を撮られてたなんて全然知らなかったのでビックリ。さっそく図書館のオンラインでその本を検索してみると、なんと、あった!!で、取り寄せて今読んでいる・・・というそんな状況なんですが、この本が本当に良かった!写真もさることながらそれに伴う文章がやっぱり面白い。だいぶ若い時の文章かと思われるけれど、夢枕獏節はもう健在、と言う感じです。

さて、そんな夢枕獏さんの小説『陰陽師』では、安倍晴明の屋敷の庭に生えている植物に対する愛が伝わってきていました。自然は自然のままに・・・その方が美しい、という感じが伝わってくるというか。それはキャラとして晴明をそういう風に作り上げたのかな、と私はずっと思っていたのだけど、そうではなくて、晴明に夢枕獏さん自身を投影されたのかもなあと、そういうことが見受けられる写真集でありました(まだ半分くらいしか読んでないけど・・・!)明日もゆっくり読もうっと(^^)

そして夢枕獏さんに関する話題はまた次回に続きます!

posted by chocola at 23:33| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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